中国で9億人(全人口13.9億人)が使う個人を格付けする信用スコア「芝麻信用」をまとめました。日本への影響についても現状をまとめています。
中国では、芝麻信用という信用スコアシステムによって個人がランク分けされています。現状で9億人が使っているとされますが、さらに浸透する様子を見せており、日本にもその波が押し寄せるのではないかと不安視されています。
もし、日本でも芝麻信用の信用スコアが導入されたら個人個人の扱いが変わってしまうかもしれません。
ここではそんな芝麻信用について詳しくまとめています。
(2019年3月現時点での状況)
信用スコア「芝麻信用」とは
芝麻信用(ごましんよう)とは、中国モバイル決済である「ALIPAY(アリペイ)」のアプリに搭載されている機能の一つです。
このアリペイは、中国のアリババグループという有名な会社が管理しています。
アリペイは、日々の生活の支払いや、保険料など様々な領域に対応しているのでかなり利用者が多く、9億人を突破したとSankeiBIZが報告しています。
中国ではスマホ決済が主流であることから今後もさらにアリペイと芝麻信用が浸透すると推測されます。芝麻信用は、個人の信頼度をランク化し、評価の高い者には様々な特典を与える機能を有しています。
芝麻信用がリリースされた正確な理由は不明ですが、信用が高いユーザーが積極的に登録することが見込めるので、良質な顧客を探しやすくなり、ビジネスに活かすためであると言われています。
信用スコアの点数の仕組み
芝麻信用の信用スコアは、350点~950点です。
スコアが高いほど高評価であり、以下のように分類されています。
- 350~549点 良くない
- 550~599点 普通
- 600~649点 良い
- 650~699点 かなり良い
- 700~950点 最高
信用スコアの元となるもの
信用スコアを構成する要素は次の通りです。
- 学歴や職業などの肩書き
- 有価証券などを金融資産を含む資産
- クレジットカードの返済履歴をふくむ信用履歴
- SNSや信用スコアの高い人間と関わっているかなどの交流関係
- 趣味嗜好や生活での行動
これらを判断するためにAIを使います。判断材料は以下です。
信用スコアの判断材料
- アリペイの決済履歴
- シェアリングエコノミーサービスでの評価
- 保有している金融資産の資産価値
- ネットショッピングでの購入履歴
- 公共料金の支払い履歴
- 寄付などの社会貢献活動をしているか?
他にも友人関係、交友関係なども採点に影響していると言われています。
信用スコアが高いことのメリット
中国人がこぞってこの信用スコアを利用するのには訳があります。
デポジットが不要になる
デポジットとは、賃貸で言うところの敷金のような存在です。
ホテルやレンタカーなどで、利用者が雑に使ってしまうと、修復代を事業者側が払うことになるので、利用者から余分にお金を預かることを指します。何の問題もなければ全額返金となります。
病院やお店で後払いが可能になる
通常は認められない後払いでも、信用スコアが高ければ後払いが可能に。全ての病院やお店で導入されている訳ではありませんが、徐々に拡大しています。
ローンの金利が安くなる
家を建てる、ビジネスで必要になるなどローンを組む場合、信用スコアが高い人は金利を優遇してもらえるというメリットがあります。
ビザ取得手続きで有利
700ポイント以上の芝麻ポイントをもつユーザーは資産証明や在職証明、戸籍証明といった煩雑な書類が不要のまま、シンガポールのビザを申請することができるようになります。
また750ポイント以上であれば、ルクセンブルクのビザ申請が可能に。
ヨーロッパのシェンゲン圏26カ国の自由な往来が可能になります。
各地にある傘や充電器を借りることができる
600ポイント以上ならスーパーマーケットやホテルで、いつでも傘や充電器を借りることができます。
スマホで近くのレンタルスポットを検索し、レンタル品のQRコードを読み取るだけで借りることができるという便利なシステムです。
また、芝麻信用の直接的なメリットではありませんが、就職・結婚などでも有利になるという傾向が高まっています。
芝麻信用で信用スコアが高いということは上流層に属していることを意味していると言っても過言ではないため、「是非我が社で働いて欲しい」「あなたと結婚したい」など需要が高まるようです。
婚活サイトでは芝麻信用のポイントを掲載し、相手を選ぶ指標の一つとしているところもあります。
芝麻信用のデメリットは?
これほど、シンプルに分かりやすくAIによって格付けされてしまう芝麻信用。それが抱える問題も少なくありません。
信用スコアが低いと待遇が悪く差別の原因になる可能性も
芝麻信用は、信用スコアの低い人間に対してペナルティを与えるわけではありませんが、低い人間がアリペイの加盟店で何らかのサービスを受けようとするも、断られるなどの懸念があります。
また、信用スコアが高ければ病院なども優先的に使わせてもらえるので、そうでない人は緊急時などに処置五足なるなどの命に係わる問題が起こる可能性をはらんでいます。
これに対して、法整備が全く進んでいないのが中国の現状です。
しかも、アリペイの加盟店側はできるだけ信用スコアの高い客を集めたいわけですから、彼らを優遇します。
この流れがどこまでエスカレートしてしまうのか。社会的な問題が頻発するのはそう遠くない未来だと考えられるのです。
信用スコアを利用した詐欺
中国ではもう既に「芝麻信用のスコアが上がるから」といった類の詐欺が出てきています。
信用スコアが生活に関わってくるので、それを餌とした詐欺が有効になってしまうのです。
個人情報漏洩の可能性
支払い情報だけでなく資産の状況・学歴・SNSでの活動などまで見られてしまうわけですから、知られたくない情報が知られてしまいます。
さらにその情報が漏洩する可能性も否定できません。
芝麻信用は日本にも浸透してしまう?
芝麻信用は、今後日本に浸透してしまうのではないか?と言われています。実際に、ヤフーは既に信用スコアを利用した事業を開始しようとしています。
少なくとも、信用スコア事業をビジネスチャンスと捉えている会社があり、注目されていることは確かでしょう。
このため、日本に信用スコア社会が到来する可能性は十分にあります。ただ、日本にはあまりにも多くの電子マネーがあるため、その内の1つでしかないアリペイ(芝麻信用)が普及するのは難しいと思れます。
また、信用スコアは悪事をすると下がるのでユーザーが悪さをしないように見張る働きもありますが、日本人の穏やかな国民性を考えると、そこまで必要はないと思いたいです。
まとめ
芝麻信用はメリットもありますが、抱える問題も山積みです。
芝麻信用はいずれ日本に浸透するとウワサされているものの、結婚や生活に関わる程になってしまうのか現時点では何とも言えません。
ただし、日本でも信用度を数値化している場面は多くあります。
例えば、メルカリ・ヤフオクなどでも個人評価を点数化し、評価の低い出品者からは購入したくないという心理が働きます。
Twitterやインスタのフォロワー数はそのアカウントに対する評価に置き換えられることもあります。
ただ、これらはその人のある一部分だけの評価に過ぎず、芝麻信用はその個人全体の評価になっているという違いはあります。
いずれにせよAIによって人が格付けされ、差別化されるという出来事はすでに始まっているという認識はしておく必要がありそうです。
やなぎ
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