感動必至の名作絵本「ばあばは、だいじょうぶ」が映画化決定!それに先駆けてあらすじ&見どころをまとめました。
2016年12月に初版が発行され、10万部以上のベストセラー絵本となった「ばあばは、だいじょうぶ」。
大好きなおばあちゃんが認知症になってしまったことを小学生の孫の視点から描く本作は、大人が読んでも涙する感動物語です。
そんな「ばあばは、だいじょうぶ」がこのたび実写映画となってよみがえり、2019年5月10日(金)~全国のイオンシネマで上映されます!
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→「ばあばは、だいじょうぶ」映画公式サイトはこちら
主演のばあば役には女優の富士眞奈美さん。つばさ役には寺田心くんがキャスティングされています。
そして本作を手掛けたのは、2017年にスペインのマドリード国際映画祭で、最優秀外国映画主演女優賞をもたらしたジャッキー・ウー監督。
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2018年に開催されたミラノ国際映画祭では、日本での公開に先駆け上映され、最年少主演男優賞、最優秀監督賞の二冠を成し遂げました。
また、2019年4月上旬に行われた完成披露試写会では、上映が終わると会場からすすり泣く声が聞こえ、感動に包まれたそう。
今回は、5月10日の公開に向けて、「ばあばは、だいじょうぶ」の絵本について、あらすじや見どころを作者の楠さんの思いと共にご紹介いたします。
「ばあばは、だいじょうぶ」
作:楠 章子・絵:いしいつとむ
童心社ー2016年初版
定価:1300円(税別)
あらすじ(ネタバレ含む)
ばあばは、いつも いってくれる。
「つばさは だいじょうぶだよ」って。
そんな ばあばが、「わすれてしまう」びょうきに なって…
ー「ばあばは、だいじょうぶ」帯より抜粋
小学生の主人公「つばさ」は、学校から帰ると、まず真っ先に「ばあば」の部屋に行ってその日の出来事を話します。
たまにお母さんに叱られて泣いてしまっても、必ず「だいじょうぶだよ」と言って頭をなでてくれるばあばのことが大好きでした。
ところがある日から突然、ばあばが変わっていってしまうのです。
はじまりは、犬のココに何回もおやつをあげるようになっていたことから。
それからというもの、ばあばは同じことを何回も質問するようになったり、毎年秋になると編んでいたセーターの編み方が分からなくなってしまったり…。
そして、ばあばの様子はだんだんとおかしくなっていきました。
春、ビンに入っていたジャムを全部食べてしまいました。
夏、隣の家のお庭に入ってお花をとって怒られてしまいました。
秋、お茶の葉の代わりに枯れ葉を入れていました。
つばさはだんだんと、ばあばの部屋に行かなくなりました。
そして冬、ばあばがいなくなりました。
ばあばがいない夜は初めてです。つばさは、ばあばと一緒の時間を過ごさなかったことを初めて後悔します。
次の日の朝、隣のおじさんに連れられてばあばが帰ってきました。
「ごめんね」
ぼくは冷たくなったばあばの足に靴下を履かせてあげました。
するとばあばは「だいじょうぶだよ」と言って、いつもと同じように頭をなでてくれたのでした。
作者「楠 章子」さんの実体験を元に製作
「ばあばは、だいじょうぶ」は、作者の「楠 章子(くすのき あきこ)」さんの実体験を元に製作されました。
楠さんのお母さんは、約20年ほど前に若年性認知症を発症し、それから自身で介護をしていると言います。
母は同じことを何度も質問してくるようになり、そのたびにちゃんと答えるのは大変つかれることだった。
だんだんできないことが増えていくのを見るのがつらかった。それでわたしはあまり両親の顔を見にさえいかなくなった。ー「ばあばは、だいじょうぶ」あとがきより抜粋
だんだんと母に優しくできなくなっていく、そんな心の中の葛藤を主人公のつばさに重ねたそう。
そこから何か生まれればうれしいー作者の言葉ー
ばあばが真冬の寒い夜に出ていってしまったように、楠さんのお母さんも突然いなくなってしまったことがありました。
家がどこにあるのかわからず、自分が何者かもわからず途方にくれているであろうお母さんの姿を想像したらたまらなくなり、ようやく帰ってきたときの心細そうな母の姿を見て、今の母は「守るべき存在」だと気づきます。
はじまりのアクションは、どんな小さなものでもいいと思う。
つばさは、裸足のばあばにくつしたをはかせてあげる。わたしの場合は、母の髪をくしでといてあげることだった。そこからなにか生まれれば、うれしい。ー「ばあばは、だいじょうぶ」あとがきより抜粋
認知症の介護をすることはとても大変だけど、楠さんがつらい顔をしているとにこっと笑いかけてくれるときがあるそう。大変さもあるけど、それと同じくらい心が満たされることも多いと言います。
日本での認知症の発症率
先進国において認知症患者の割合が最も多いのは「日本」なのだそう。
65歳以上の7人に1人は認知症患者との統計(厚生労働省調べ)が出ているほど、認知症は今や日本でも特別なものではなく、ごく身近な病気になりました。
今後更に高齢化が進んでいくにつれ、団塊の世代が75歳となる2025年には、認知症の患者が7000万人に達し、5人に1人の割合になるといいます。
認知症には介護が必要です。しかし、介護に休みはありません。
特に自宅で家族が介護をしている場合には、家族への負担も大きく「介護疲れ」してしまうこともあります。
つばさのように、避けてしまいたいという気持ちも出てくるかと思います。
守るべき存在がいるのに、わたしやつばさのように目をそらしているひと、どうしていいかわからなくなっているひとに、この絵本が届きますように。-「ばあばは、だいじょうぶ」あとがきより抜粋
本作には、そんな方々にこそ手にとってほしいという思いが込められています。
毎日生まれ変わったつもりで生きていけば…。
正直にお話すると、筆者にはこの絵本を読むことがとても辛く、何度も本を閉じなくては読み進めることができませんでした。
というのも、筆者が小さいころからよく遊んでもらっていた大好きなおばあちゃんも、数年前に認知症を発症。どうしてもばあばに自身のおばあちゃんの姿を重ねてしまい、その度に胸が苦しくなってしまいました。
おばあちゃんの家の近くに住むおばさんから近況を聞くと、以前できていたことができなくなっているということが自分でも受け入れられず、どうしていいかわからなくなってしまっていると言います。
昨年の夏に久しぶりに遊びに行ったときには、認知症の症状自体は軽いものではあったのですが、時間や曜日を忘れていたり、約束を覚えていないことが多く、わたし自身も少し戸惑ってしまう気持ちがありました。
そして本作を読み、筆者がつばさだったら、やっぱり同じように避けてしまうのではと思ってしまったんです。
前と違うようになってしまっていても愛することができるのか、問われているようにも感じます。
つばさや、つばさのお母さんと同じように、自宅で認知症の介護をしている方は、絵本はもちろん、映画も観に行ってみてください。きっと大切なことを思い出すはずです。
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