知る人ぞ知る「toe」の魅力や音楽の特徴、ボク推しのアルバムなんかを詳しくご紹介します。
今回紹介したいのは、「toe」というバンド。何故か海外のWikipediaでは「Toe」表記になっていたりするのだが、正しくは「toe」。「トー」と読む。
「toe」とはどんなバンドなのか?
四人組のポストロックバンド。
2000年から活動してて、やはりというかなんというか、その畑の人には超有名バンド。
ポストロックというのは、説明がめちゃくちゃに難しいのだが、簡単に言うとロックを基調としてジャズとか色々取り入れてみました、みたいな音楽。ミクスチャーロックとはまた少し違って、比較的落ち着いた雰囲気の曲が多い。
日本のポストロックバンドといえば、”もうとりあえずtoeだ。toeしかいない”というくらい有名。
ポストロックはインストバンドが多いけど、toeもしっかりインストバンド。
インストバンドってのはボーカル不在のバンドのこと。歌に縛られない。だから、ほとんどの曲に歌がなく、フィーチャリングでたまに他のボーカリストが入ることもあったりする。
「toe」の魅力とは?
歌がないとい聞いただけで、「うげえ」と思った人も多いのでは。
個人的にも、かなり昔は音楽は歌ありきだと思ってたし、バンドが鳴らす音なんてバンド好きでも注目しない人が多い。
だが、toeのようにプロ集団が合わさって音を鳴らすと、これがまたとんでもないのだ。超上質BGMのそのさらに上という感じ。
レイテストナンバー
先ずは一曲。ボーカル有り。割と聞きやすい曲。2018年リリースの「レイテストナンバー」↓
月、欠け
次も、ボーカル有り。これも割と聞きやすい。有名曲。2012年リリース、「月、欠け」↓
ちなみに、これはPVの面白さもあって、本当に本人なのかどうか議論があるけど、音源はCⅮ音源そのもの。
For Long Tomorrow
次はボーカルなし。これぞ「toe」といえるアルバムのスポットCM。2009年リリース「For Long Tomorrow」。
聴いてもらったらわかるけど、toeは幻想的な音楽が多い。
「レイテストナンバー」「月、欠け」は割とシティポップぽいけど、そういう曲がPV候補になってるだけで、初期アルバムを通してきくとシティポップの感覚はほとんど感じない。
シティポップのふわふわぼわぼわ感とはむしろ対照的なパキッとした音が響く。
ただ、2012年~はベースに重点を置いたぼわぼわサウンドが強調されることもある。上の動画は、一番上から2018、2012、2009と来るようにもってきたが、音のパキパキ感が徐々に強くなっていくのが分かるのでは。乾燥した地域で録音した時みたいにパキッとしている。
1/21
1/21という曲のライブ映像↓2006年リリース。
こんなに幻想的なものを生音セッション形式でやっちゃおうってんだから変態的に天才。
この曲は2006年発売の「New Sentimentality」に収録。
やはり音がしっかりとパリッとしていて聞こえがいい。それを2013年にライブで再現できるのもすごいんだけど。
toeは副業?メンバーの本職は?
ちなみに、メンバー全員がこのバンドだけで食っているメンツではない。全員が全員他に本職を持っている。
ギターの山嵜廣和は内装インテリア、ギターの美濃隆章はレコーディングエンジニア、ベースの山根敏史は服飾の関係の仕事など。
ドラムの柏倉隆史は様々なバンドを掛け持ちしていて、ドラムやっている人の9.9割にとっては神様のような存在。
手数が多いドラミングが特徴で、toeの幻想感を出すのに大いに貢献している。
柏倉隆史がドラムをするthe HIATUS「Bittersweet / Hatching Mayflies」
柏倉がメンバーのthe HIATUSの曲。2011年リリース。
これも幻想的な曲だが、それを壊さないドラミングがすごい。
the HIATUS「Thirst」
同じくthe HIATUSより。ロックバンドの曲で最も完成度の高い曲の一つ(自分調べ)2014年リリース。
出典:the HIATUS
真ん中の人が柏倉隆史。流石というべきか、鋭い職人のような顔をしている。
出典:the HIATUS
これだと右から二番目。しかし、この人なんでこんなに迫力あるんだ・・・。ほかのメンバーもプロ中のプロの集まりなんだけど、紛れ込んでなおリードしていく強さがある。
ちなみに、柏倉さんはドラムだけど、作曲もできます。
the HIATUSのアルバム「Keeper Of The Flame」では「Sunset Off The Coastline」「Interlude」「Roller Coaster Ride Memories」の原型を作曲。
基本的に、細美武士という日本が誇るレジェンドメロディーメーカー(二枚目でいうと真ん中の人)が曲を作ってるんだけど、負けず劣らずのクオリティ。
本当にドラムが上手い人、という感じ。
海外でもDave Grohlとか有名なドラマ―はいるけど、それとはまたちょっと違ってて、小難しい作業をいともたやすくこなすような、日本人らしいドラミングが非常にうまい。
そりゃ海外の人と比べるとパワフルさに欠ける所もあるが、日本人ドラマーの弱点ともいえる音の迫力の無さのレベルは軽々クリアしている。そうはいってもシンプルなドラムをこなす。
しかもその中に一つエッセンスを入れてきたりするからたまらない。柏倉ドラムを聴いたことある人は、柏倉がたたいているとも知らなくても曲を聴いただけで”あ、柏倉ドラムじゃん”とマジでわかる。
そのくらい音がユニーク。同じことをアジカンのドラマーが言ってたけど、まさにその通りだと思う。
柏倉さんばっかに話が言ったけど、むろん他のメンバーもバンドは副業とはいえ実力は天皇クラス。カリスマ性もすごい。そんなの音源きいたら一発で分かるんだけども。
「toe」人気は日本だけじゃない
「toe」は歌なしのインストバンドなためか、海外でも比較的人気がある。
アニメ主題歌とか、日本で大人気な流れが飛んでとか、日本の音楽が好きな人が好き、とかじゃなくて純粋に人気。
何のきっかけもないのに、曲の良さだけで純粋に人気。
YouTubeのコメントも英語が多いし、海外Wikipediaではまさかの画像付きなのだ。日本人なんて記事があっても画像がなかったり、内容が薄いことがほとんどだが、この徹底ぶり。アルバムの評価も「Exclaim!」と高評価。
こちらはバンクーバーで行ったライブの様子↓
出典:wikipedia
よく、バンドが触れ込みとして「海外でも人気のバンド」とかっていう風に紹介されることが多いけど、これの実態をあっさりと見分ける方法が実はある。「songsterr」というサイトだ。
これは楽曲のスコアを公開しているサイトだけど、ここに登録されているかどうかで本当にそのアーティストが海外で広く認知されているかを知ることが出来る。all musicの評価を見るより明確。
ちなみに「toe」は、この「songsterr」にしっかりと登録されている。自分はこれをみてベースコピーしました。洋楽コピーにもクソ便利なサイトなので是非。便利すぎてあんまり人に教えたくないんだけど。
というわけで、わりと長たらしくtoeについて語ってきた。
日本の音楽の最深層にいるといっても過言ではない彼ら。
インストバンドとして有名なバンドはPE’ZとかH ZETTRIOとか、スカパラとかわりといるっちゃいるんだけど。ロックを基調としたポストロックとなるとtoeを差し置いとくわけにはいかない。
キーボード主体のインストはちょっと飽きちゃったなという人にぜひおすすめ。
自分も、toeの魅力はキーボード主体じゃなく、しっかりと主軸がギター、ベース、ドラムのところだと思ってる。キーボード主体はそれはそれでものすごくいいんだけどね、YMOとか含めて。
こんなにシンプルな楽器で、使われるコードなんて数個しかないような楽器で、歌なしでここまで可能性を広げられたなと思う。
おすすめアルバムはこれ
おすすめアルバムは人によって異なるけど、シティポップ好きな人は「Hear You」、パリッとした音が好きな人は「For Long Tomorrow」がいいかな。
Hear You
出典:Hear You | toe
2015年7月リリース。
For Long Tomorrow
出典:For Long Tomorrow | toe
2009年リリース。
the book about my idle plot on a vague anxiety
出典:the book about my idle plot on a vague anxiety | toe
2005年リリース。
副業バンドたるもの、フルアルバムなんて18年活動して3枚しかないから、全部買っちゃってもいいと思う。むしろそれが一番いい。
意外と音楽を掘ってみたら、こういうおもしろい出会いがあるからやめられないよね。
まとめ・音楽、深掘りのススメ
そもそも、「音楽」っていうジャンルは何段階かの層に分かれてて、一見しただけで20段階くらいはその層が存在する。
アイドル曲とか、流行りの曲とか、テレビをつければ高確率で流れてる音楽が1~3段階くらい。星野源とかね。あと米津玄師とか。
で、次はたまにテレビ出てるバンドやポップ歌手とかが入ってくる。[Alexandros]とか。さらに深めると、”テレビ出ないけど、そのジャンルの音楽聞いてる人なら知ってて当然”の層が出てくる。10-FEET、アジカン、ハイスタとか。
同じくらいに流行りのバンドが位置する。KANA-BOONとかね。
まあ、そんな感じで、割と音楽っていうコンテンツ深い浅いを分けやすい。
流行じゃない音楽とかは深掘りしないとなかなか出会えない。
洋楽も洋楽でポップ歌手ならLADY GAGA、バンドならMaroon5みたいに皆が知ってる人もいれば、StereophonicsとかTHE FRAYみたいに日本ではあんま有名じゃないバンドもいる。
レッチリ、Green Day、Radiohead、Oasisとかレジェンド級が入ってくるとまたややこしくなってくる。
もちろん、誰も知らない音楽聴いてるからって偉いわけじゃないし、テレビ流れてくる音楽しか聴かない人を馬鹿にするつもりはない。
音楽を自分から調べて掘り下げようなんて、元々大多数の人がしないのだ。
人口の8割位(自分調べ)はテレビから流れてくる音楽とか、有名な音楽とか、友達が教えてくれた音楽とかしか聞かない。そこをわざわざ掘り下げて、自分で調べて、しかも挙句の果てにハマってCDまで買っちゃう人は本当にごく一部。
商業利益に傾くのは音楽会社として全く悪くないんだけど、それを追い求めすぎて、”本気の音楽”を造るのを忘れちゃってませんか?と言いたくなるような感覚が最近ある。
個人的には、「自らが良いと思える音楽」を探してほしい。それはとても楽しいことから。
みんな忙しいし、音楽なんて聴いてる暇ないかもだけど。だからこそ、あえて見つけて欲しいともおもう。
で、今回はそんなとっかかりになればいいなと思って、最高の楽曲だけどある一部の層だけしか知らない「toe」を紹介しようという目論みでした。
長いまとめでした。いや、むしろ本論なんだけどね。
おらひ
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