すごすぎる「清竜人」の音楽活動、それに伴うビジュアル遍歴をデビューから現在までざくっとまとめました。
清竜人というアーティストを知っているだろうか。
これがまぁ、一言で表すならば天才。
それも、単なる天才ではない。多方面で天才。
まずは、彼の経歴というか、その辺を述べてたい。
清竜人、これまでの活動内容の軌跡
清竜人の1stアルバム「PHILOSOPHY」
出典:DISCOGRAPHY – 清 竜人オフィシャルサイト
2009.03.25 リリース。
2009年の携帯会社のauのcmソングに抜擢された事で一部から絶大な支持を得て1stアルバムをリリース。この時若干19歳。
morning Sun
それがこの曲、1stアルバムにも収録されている「morning Sun」。
シンプルながら清涼感のある声が紡ぐその透明さに胸打たれた人は多いのでは。
清竜人というと1stアルバムは意外と聴いていない人が多い。というのも、アコースティックギターとピアノのシンプルかつ流動的な世界観が音楽的に完成するのは2ndアルバムだという風潮があるように感じる。
勿体なさすぎる。ぜひ1stを聞いてみてほしい。確かに、2ndほど完成はしていない。未熟な部分も垣間見える。でも、それすらも全て包み込む清竜人ならではの世界がしっかりと体験できる。
Anatanidakewa
とあるインタビューでは1stアルバムについて「稚拙美」という言葉が使われている。ぴったり。
特に、2ndから3rdにうつって、4thで確実に見放した人は1stに戻ってみてほしい。
2ndアルバム「WORLD」
出典:DISCOGRAPHY – 清 竜人オフィシャルサイト
2010.02.17リリース。
1stアルバムで確実に一定の層に衝撃を与えた清竜人。
2ndはどちらかといえば1stの延長線上の曲が収録されている。まず、彼が世に出した曲はヘルプミーヘルプミーヘルプミーだった。
ヘルプミーヘルプミーヘルプミー
これがまた恐ろしくいい。
ギターのシンプルなコードと不安定な歌詞。それでいて特徴的。
20歳でこの歌が出せるというのが本当にすごい。
不安定な歌詞というのはもちろん褒め言葉だけど、それ以外にも言葉にしにくい良さがある。思慮深いけど、弱く脆い少年が歌う彼自身の歌。
こんなの惹かれない方がおかしい。
しかも、これが一発じゃ終わらない。
痛いよ
稀代の名曲がここで生まれる。
恐ろしいまでに繊細な歌詞とその世界観。
ともすれば気持ち悪いと言われがちな裏声を序盤からサビ、アウトロにまで印象的に配置。
少し触れただけで壊れてしまいそうな声、そして清竜人そのもの。
歌詞はラブソングで、割と踏み込んだ歌詞になっているのだが、全くストーカー的な印象を与えない。
歌詞だけみるとストーカーの歌みたいなんだけど、、
決定的に違うのはストーカーのように自分勝手な感情が一切排除されているということ。
相手を愛する、純粋に愛した故に叫びたくなってしまう心。
それに彼が得意とする繊細な歌詞と透明な声が遺憾なく発揮される。
本当に名曲。あぁ、名曲ってこういうのをいうんだなぁ、というような歌。
PVも合わせて必見。監督が誰か分からないけど、歌詞の世界観をバッチリ表してる。こんなに名曲に負けず劣らずのPVを作れるというのはすごい。ちなみに、ヘルプミーヘルプミーヘルプミーの滴の滴る葉っぱからのPVも個人的に好き。
上の2曲のシングルで知名度を伸ばした後に発表されたアルバムworldは初週6050枚を売り上げ、全アルバムでトップの売上を誇っている。
3rdアルバム「PEOPLE」
出典:DISCOGRAPHY – 清 竜人オフィシャルサイト
2011.04.13リリース。
商業的に勢いに乗った清竜人。前作から7ヶ月後に早速シングルを発表。以下、6ヶ月で3枚シングルをリリースし、アルバムpeopleをリリース。
ぼくらはつながってるんだな
プリーズリピートアフターミー
ボーイ・アンド・ガール・ラヴ・ソング
まず、ここにきて曲が妙に長くなる。7分とかザラ。
あと、1つのアルバムにシングルが3枚も出るというのは今回が初。
創作意欲が止まらなかったのだろうか。
正直、この辺りがかなり複雑。
清竜人の曲は比較的初期から時を経るごとに長めになりつつあって、worldでも6分40秒とかの曲がある。philosophyやworldは12曲57分。peopleは11曲63分。長い。
「morning sun」「痛いよ」「ヘルプミーヘルプミーヘルプミー」とか初期の代表作も名曲なんだけど、これが8分とか続く曲だったらどうだろう、と思う。多少曲がだれてしまうこともあるのでは。
しかも、peopleの曲は転調があって長いとかじゃなくて、一定のリズムが続く。聴く人によっては中でダレるかもしれない。その分、歌詞に思いを詰めたのだろうが。
個人的には好きだけど、philosophyやworldの方が好き。ただ、たまにすげえ聴きたくなる。あと、初回盤は今までのpvが全て収録されてます。
4thアルバム「MUSIC」
出典:DISCOGRAPHY – 清 竜人オフィシャルサイト
2012.05.09リリース。
今度はシングルを出さずに、いきなりyoutubeに紹介映像が投稿された。
いや、どうした?
いや、ごめん。どうした?
まじでどうした?
急にミュージカルになってるし、特徴だったジョンレノン風の髪変わってるし、なんか女声聞こえるし、なんか踊ってるし、いやまじどうした。
突っ込みが間に合わねえ。
まじで考えすぎて頭おかしくなったんじゃないかと思った。
ただね、どうしようもなく楽しそうなんだよね、本人が。
現に、好きなことをやってたらこうなったという旨の発言もしている。
シングルを出さずにいきなりアルバムでみんなをびっくりさせようとしたのか。割に内容が今までと違すぎるからyoutubeに紹介映像を出した形か。
これはね、本当に人を選ぶ。
自分はそんなに好きじゃない。ていうかCD買ってない。曲は借りて聴いたけど。
サウンドもアコギとかギターサウンドではなく打ち込み。これも好きじゃない。個人的にはあのギターの稚拙な世界観が好きだったわけで、打ち込みになると完璧になってしまう。だって、誰が打ち込んでも同じ音がなるんだから。
調律して欲しくなかったところを調律された感覚。
だが、まぁこれはこれでアリかなとも思う。清竜人が本当にやりたかったことをやってるんだな、と感じるところが多々ある。ただ奇を衒っただけの曲ではない。
5thアルバム「kiyoshi ryujin」その完成形
出典:DISCOGRAPHY – 清 竜人オフィシャルサイト
2012.12.30リリース。
今度は一転、自宅で宅録サウンド。1stに近い印象。
これはライブのチケットとセットで販売されて、今はもうレア音源になってる。平均して10000円くらいするのだが、奇跡的に中古屋で1280円で見つけたので即買いしたのです、いやはや。
これは気になる人もいるのでは、ということで詳しめに。
ぼくはロリータ・コンプレックス
1曲目から早速7分の大作。
これが何個も続くとpeopleのように賛否が分かれることもあったかもしれないけど、今作はこの一曲のみが長くて、後は2.3分の曲が続く。
そうしてみるとひどく頭でっかちなアルバムにみえるけど、これがどうして全体を通してバランスがいい。musicのときの弾け具合が嘘のように静か。
タイトル通り、歌詞は攻めてるのかと思いきや結構当たり前のことをつらつらと語る。
ロリコンだって恋してるんだよ、ちょっと人と違うからってそれを淘汰しようっていうのはどうなのさ、人を理解しようとしようよ っていう感じ。
当たり前なんだけど、こんな当たり前のことをしっかりと歌って再確認させてくれる。
ぼくはバイセクシャル
バイセクシャルっていうのは、性的に男性でも女性でも恋愛対象になる人のこと。
今でこそ有名になった言葉だけど、当時はまだ専門用語的な言葉だった気がする。
この曲も 色んな人がいるけど、みんなとちょっと違うだけで尊重されるべきなんだっていう感じの曲、、かと思いきや、バイセクシャルで悩んでる人が自身の心情を歌いあげるという構図がとられてる。
ここで1曲目の客観的視点から主観的視点に滑らかに移行するところが流石清竜人という感じ。イントロからサビ、アウトロまで妙な壮大感があって美しい。歌詞も言い回しもしっかりと清竜人。
ぼくのリビドー
リビドーっていうのは簡単に言えば性的衝動。
押さえきれない性衝動を指す言葉。これはなかなかR-18を感じさせるタイトルだけど、印象と一転、メロと歌詞の切なさが心に響く。
リビドーと愛との差異を探求するかのような歌詞で、それが日常生活を例に語られるから、意外と共感できるっちゃできる。キーボードの静かながら一定のリズムをしっかりと刻む形が、ドラムの代わりをなしている感じで、バラード的ノリも全然悪くない。
ぼくとソープランド
しかし、これさっきから一見するとやばい歌詞ばかりだけど、よくこれを実家で宅録しようと思ったなぁ、、その辺りからも、清竜人がこういう性とか愛とかを汚いものっていうより何か敬虔な美しいものって捉えてるのが分かる。
そこに純文学的な良さがあるように思う。
この曲は個人的に一番歌詞が好き。10年来の初恋の女性に会いに、その子が働いていると噂のソープランドに会いに行くってだけの話。これがまぁなんともいえない感情が生まれる。
「乳房は不自然に大きいんだね」
この辺りからは秀逸な流れ。最終的に、男は何も聞かずに店を出る。
「ただ僕はただ君は 大人になっただけさ
ただ僕はただ君は 生きてきただけさ
じゃあまた元気で、またくるよ とてもよかったよ」
からの口笛アウトロ。
ぼくはアルツハイマー
1分40秒あたりの曲。曲としては一番好き。これも聞いてみないと分からない良さがある。繊細さがしっかりと前面に出ている。
ぼくの家族
ボーナストラック的なお遊び曲。
お遊戯会で歌うような感じの曲だけど、意外と癖のある楽曲。
家族に対しての感謝とかじゃなくて、まさかの家族紹介が始まる。祖父と祖母が駆け落ちしましたみたいな情報が入ってくる。
どんな気持ちで聞けばいいんだ、これを。
最終的には実家族のコーラスまで入ってくる。まじかよ。
ただ、その後家族って誰かと誰かの愛の連鎖の証明なんだねみたいな感じの歌詞になって、なんかいい感じになって終わる。結構おふざけしてると思うけど、なんかいい感じになって終われるのがすごい。
kiyoshi ryujinは、歌詞カードも素朴な感じで、歌詞もクレジットも全部手書きで書いてある。
表紙は色彩絵の具で描かれた絵。ジャケット買いしてしまうほどじゃないけど、本作によくあっていると思う。
6thアルバム「WORK」新たなるサウンドの可能性
出典:DISCOGRAPHY – 清 竜人オフィシャルサイト
2013.10.23リリース。
完全に打ち込みサウンド。ジャンル分け不可能。強いて言うならエレクトロニカ。
1stや2ndのアルバム曲の電子バージョンというような印象を受ける。
ついでに歌詞も何言ってるのかよく分からなくなる。
all my lifeは評判が高いし、自分も好きだけど、やっぱり打ち込みサウンドが気にくわない。
All My Life
今回もシングルはなし。
しかし、まあ毎回毎回面白いアルバムを出してくれると思う。そういう意味では飽きない。全く飽きないし、新しいアルバムが出たら気になって聴いてしまう。
清竜人の見た目の変化がすごい
ついでに見た目もばりくそに変わってる。
繊細な少年が、強面の髭面になってる。似合ってるっちゃ似合ってるのがまた完全否定しづらいところ。
出典:CD journal
↑2009年「philosophy」の時。
出典:CD journal
↑2010年「world」の時。
出典:TOWER RECORDS ONLINE
↑2010年「world」の時。
出典:太田出版ケトルニュース
↑2012年。「music」の時。
出典:CINRA.NET
↑2012年「kiyoshi ryujin」の時。
出典:音楽ナタリー
↑2013年「work」の時。激変。
「さあ、次はどんなアルバムが来るのだろうか」と思ってついつい待ってしまう。
出典:CD Journal
そしたら、なんかアイドルになってた。一夫多妻制ユニット清 竜人25爆誕。
しかもセンター。
何をしているんだ、まじで。
これですごいのが「清竜人いらねぇよ、女の子だけ映せ」みたいな意見がほとんどないところ。
むしろ、youtubeのコメントなんてほぼ清竜人についてしか書かれてない。なんだこれ。どういう状況だよ。
Will You Marry Me?
ラブ♡ボクシング
だが、確かにmvをみると清竜人に目がいってしまう。
というか、むしろ女の子が邪魔。清竜人を映せ。こんなにも可愛い女の子が一ミリも惜しくないという気持ちは生まれて初めて。それよりも、あの満身の笑みのアフロの髭面を映すんだ。25歳とは思えないし、5年前まで痛いよ歌ってたとは思えない。
ハートボイルドに愛してやるぜ
しかし、不思議と「別名義でアイドルやります!」となると打ち込みサウンドがすっと体に入る。受け入れられる。楽しい。個人的に好きなのはmr.playboy、疾走感が好き。合わせて歌詞もすごい。
「今夜は寝かさない 今夜は離さない スケジュールはキャンセルしとけよ、ずっと」
女性に対して上から攻めるテクニックを覚えた友達に似てて笑える。そいつはキャバクラでそれを披露してビンタされてたけど、清竜人は女の子に囲まれて嬉しそう。なんだかこっちまで楽しくなる。
みんな気づいてるだろうけど、清竜人のmusicはむしろここに繋がるように感じる。妙にミュージカル風じゃないことを考えるとサウンド面ではwork寄りか。
どのアーティスト写真を見ても確実に一番目立つ位置にちゃっかりといるのが笑える。狙ってきているのか無意識なのか、どちらにせよ笑える。
出典:音楽ナタリー
「清竜人25」解散、そして現在
出典:日経スタイル
清竜人25が2017年6月に解散。
何年かぶりにソロコンサートを開催した。このセトリをみて本当に泣きそうになったのだが、しっかりと痛いよを歌っているのだ。
声もハスキーに変わっちゃってたから、もうこういうバラードは歌えないし、下手したら歌いたくないのかとも思ってた。
アイドルサウンドも好きなんだけど、その分全くソロの活動がなかったわけで。アイドル活動がどのくらい続くか分からない中で、「もう痛いよみたいな曲を聴くことはないだろうな」というある意味での諦めが心の中に少しあった。さっきも言ったけど、声も大きく変わっちゃってたからね。
そこからはソロで7年ぶりにシングル出したり、配信で曲出したりする様子。残念なことにソロ活動を再開してからまだライブに行けていないのだ。
新生清竜人の生での痛いよを聞きたい。新曲もすごくいい。聞きたい。
初回限定版のDVDには痛いよ系の曲は入っていない。恐らくレーベル移籍の関係だろうか、これからもライブ盤が新しく出されることはしばらくは無いと思う、多分。ライブに行くしかない。
サン・フェルナンドに連れていって
今行かないとまた何をしでかすかわかったもんじゃない。
またアイドル始めましたみたいなことやるかもしれないし、ミュージカル本格的にやりまーすとか言い出すかもしれない。
実際、アイドルやる前に清竜人townとかいう名義で観客の暴動声がゴリゴリ入ったいい意味でわけわからんパンクロックアルバムを出したりもしてる。
そういう新プロジェクトも楽しみだが、とりあえず痛いよは今しか聞けないことは間違いない。
ちなみに今後のアルバムも今までのようなアルバムはないと思う。毎回毎回色を変えてきたアーティストだし。さらに僕らが驚くような意外な曲を出してくるに違いない。
聞いたことがない人はベストをおすすめするけれど、媒体にこだわらない人はyoutubeがいいと思うよ。
ソロ再活動に際して、「kiyoshi ryujin」を除く全アルバムの全曲が公開されている。基本的にだいたい聞ける。さすが清竜人、太っ腹。
全部聴くと心から感じるけど、1アルバムごとに持ってるもの全部入魂してるんだろうな、と感じる。アルバムごとに趣向が変わる理由が少し分かる気がする。
あなたの好きな清竜人はいつの清竜人ですか。
では。
おらひ
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